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JA嬬恋村 営農経済部販売課 篠原一紀さん

キャベツといえば嬬恋村。ブランド産地の誇りを持って、育てています

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避暑地として知られる軽井沢から車で約30分。万座温泉スキー場も近く、冷涼な高原地帯である群馬県嬬恋村では、その気候を利用したキャベツ栽培が盛んになりました。各生産者が団結して技術を磨き、数十年にもわたってブランド力を維持し続けています。

夏秋キャベツの収穫量では圧倒的日本一。高い技術力で安定供給

群馬県の嬬恋村は日本を代表する高原キャベツの生産地として知られています。標高1000~1300mに広がるキャベツ畑の背景には雄大な浅間山。JA嬬恋村に加入している約320軒の生産者はほとんどがキャベツ農家です。「7月から10月いっぱいまで収穫できる夏秋キャベツの収穫量は嬬恋村が日本一。冬は雪に閉ざされる地域なので、二期作が可能なのは1割程度の畑だけです」と語るのはJA嬬恋村の篠原一紀さんです。「年間の収穫量は約20万トン。キャベツを一直線に並べたら地球を一周する長さになります」と笑います。実際に、全国のスーパーなどに流通している夏秋キャベツの7割は嬬恋村産だそうです。「異常気象で夏の暑さが年々厳しくなっていますが、ここは高冷地。たとえ日中が暑くても夜は20度前後まで下がるので、寒暖差で甘味が出て、朝露のおかげで水々しいおいしいキャベツとなります」

嬬恋村のキャベツをサラダクラブへ納入しているのは、青果物卸売業大手の東京青果株式会社です。仕入れ担当として全国の野菜産地を熟知している成田行博さんは「嬬恋村は圧倒的な生産量だけでなく、技術も持ち合わせている点が優れている」と話します。「嬬恋村の生産者さんをサラダクラブの工場にお招きして加工の様子を見ていただくと、葉のつまり具合や玉の大きさなど、求める品質をすぐに理解してくれて、翌年のキャベツに確実に反映してくれる。その生産技術の高さは素晴らしいです」

生産者と消費者の間に"顔が見える関係性"を作ることが大事

JA嬬恋村と東京青果との連携が始まったのは2018年。実はそれ以前にも嬬恋村のキャベツはさまざまな青果物卸売業者を通じて、単なる"夏秋キャベツ"としてさまざまな規格のものがサラダクラブに納入されていました。そこで、そのルートを整理し、JA嬬恋村から一括して供給するルートを整えたのが東京青果でした。これにより、サラダクラブは均一な規格の"嬬恋村キャベツ"を安定して入手できるようになり、"嬬恋村ブランド"を掲げた商品を消費者が手に取ることが可能になりました。成田さんは「この販売体制の再構築によって、生産者と消費者の間に"顔が見える関係性"を作ることができたと思います。原材料のトレースができることで製品への信頼感がより高まり、結果的により安心・安全なサラダクラブの商品を、消費者のみなさんにお届けすることにつながっていると感じています」と説明します。

成田さんは嬬恋村に週1回は足を運び、生育状況を視察します。「サラダクラブからの要望や情報を伝え、JAさんからも状況を聞く。両者の間に立ち、規格管理と需給調整をしっかりと行うことが私の役割です」

JAの篠原さんは「このルートの整理によって、サラダクラブさんと生産者の間にも"顔が見える関係性"を作ることができた」と言います。「年々サラダクラブさんへの納入量を増やしていただき、現在は生産量の約1割に。一番大きな取引先になりました。東京青果さんは生産者と直接話をすることもあるので、生産者も"この畑のキャベツはサラダクラブに行く"と意識ができる。おかげで、サラダクラブさん・東京青果さん・生産者の三者の間に連帯感が生まれ、より良いキャベツづくりができていると思います」

植えた分はすべて収穫。恵まれた環境下で、生産計画を維持したい

成田さんは「全国のあらゆる野菜産地を見ていますが、品質はもちろん、選別の仕方や量目の見極め方など、このレベルを保ち続けている産地は他にありません」と話します。「多くの生産者が団結して技術を維持していること、環境に恵まれていること、そして後継者のレベルも高いという条件が揃っています」

植えた分はすべて収穫できるのが、嬬恋村の技術の高さ。篠原さんは「現在は空いている畑はなく、生産量は最大限。JAとしては、この規模と収穫量を高い品質を保ちながら継続していくことを目指します」と話してくれました。

何十日もかけて育てていただいたもの。おいしさを保ち食卓までつなげたい(サラダクラブ 原資材部/熊倉)

2018年頃に東京青果株式会社さんにお声掛けし、夏場のキャベツの安定供給をお願いしたことからJA嬬恋村さんとの関係が始まりました。夏秋キャベツの一大産地との連携ができたことで、パッケージサラダの生産計画に合わせた計画的な入手ができるようになり、本当に助かっています。東京青果さんがしっかりと品質管理と需給調整をしてくれるので、私たちも「何十日もかけて育てていただいたものを、しっかりと消費者の元までつなげなくては」という意識が高まります。

私は以前、五霞工場に勤務して野菜の加工をしていました。全国で1日に80万パック以上のパッケージサラダを作るとなると、限られた時間の中でキャベツ1玉あたりの加工効率を上げることが大事です。つまり、玉の大きさや葉のつまり具合がバラバラだと作業効率が落ちてしまいます。嬬恋村のキャベツはずっと品質が安定していましたが、2022年に「もうすこし重量を増してほしい」とお願いしたら、翌年には見事に応えていただきました。東京青果さんの後方支援もあり、もともとの品位に加えてより高い品質が実現したのです。生産者さんたちの技術の高さと熱意に、感激しました。

私たちはパッケージサラダを作る上で必要な条件などを常に東京青果さん経由で生産者さんにお伝えしていますが、今後もこうした信頼関係を維持するため、生産者さんを工場見学にお招きするなどして、良い関係性を構築していきたいと考えています。そして、嬬恋のキャベツそのもののおいしさを、食卓に届けていきたいです。

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